高山西高校ウインドアンサンブル部 第32回定期演奏会【定演レビュー】

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2019.07.19

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2019年6月8日、高山市民文化会館大ホールで行われた、高山西高等学校ウインドアンサンブル部第32回定期演奏会。「日本一になる」という目標を掲げる同校ですが、この「日本一」とはコンクールの結果だけではなく、あらゆる部分において日本一を目指しているとのこと。

そんな高山西が大切にしているのは、音へのこだわりです。基礎練習にしっかりと時間をかけ、美しい音を奏でることを大切にします――人間性においても、基礎が大切なように。音にこだわりぬいた高山西の、今年の定期演奏会のキャッチコピーは「花のように舞い奏でる」です。大きい花、小さい花、色とりどりの花のような、美しい音の協演をお楽しみください。

 

それではさっそく、レビューをどうぞ!

 

「第32回、定期演奏会、スタート!」

 

 

第1部

Q.第1部の見どころは?

 

部員「1部では、コンクールで演奏する課題曲と自由曲。そして、「祈り」では、ウインドアンサンブル部の卒業生である反中先輩と、ピアノの田尻さん、そしてストリングベースのソリがあるので、注目してお聞きください。どうぞ!」

 

オープニングから聴衆を別世界へ連れていってくれるのは、今年度の課題曲、「「あんたがたどこさ」の主題による幻想曲」です。主題は古さを感じさせるものですが、高山西のこだわりの音が、つやめくように幻想の世界を描き出します。一音一音の粒が立ち、まるで立体的に迫ってくるようです。一曲目から、高山西の世界に飲まれること間違いなしです!

 

 

続いては自由曲となる、「吹奏楽のための交響曲「ワインダーク・シー」より」です。緊張感あふれる曲調を存分に引き出すのは、やはり高山西の音へのこだわり、そして技術力です。基礎練習で培ったタンギング技術が、一糸乱れぬ演奏を可能にしています。飾りが多く、難しい演奏技術が要求される曲ですが、見事に弾きこなし、ラフさを感じさせるほど。張りつめた中のラフさはとても格好よく、聞き惚れてしまいます。

 

 

 

第1部の最後を飾るのは、「祈り~a Player」です。コントラバスの深いピチカートに乗せて、切なく響くのは田尻明菜さんのピアノ。静かに、反中洋介さんのテノールが、そっと物語を紡ぎ始めます。盛り上がりに向かい、反中さんの声も高らかに、金管の音が輝きを添えるかのように響きます。木管や低音が歌声を支え、素晴らしいハーモニーが祈りの、未来への言葉を観客の心へと届けます。

第2部

Q.第2部の見どころは?

 

部員「2部では、新しい取り組みにたくさん挑戦しました。一つ目は、日本舞踊です。日本舞踊家の花柳琴臣さんにご指導いただいて、吹奏楽と日本舞踊の、素晴らしいコラボレーションをお楽しみください。二つ目は合唱です。曲は、誰もが知っている「世界で一つだけの花」で、どうやったら歌詞の意味がお客さんに伝わるのかを、皆で考えて、心を込めて歌います。三つめは、「エル・クンバンチェロ」の格好いい演出です。二年生の演出係の子が、一生懸命考えてくれた格好いい演出なので、ぜひ楽しみにしてください!」

 

 

 

新しい取り組み、吹奏楽と日本舞踊を組み合わせた「吹奏楽舞踊「花に想う雪ノ郷」」の幕開けです。舞台上を舞う無言劇の主人公とヒロインの、結ばれないつらさを、「越冬つばめ」の身を切るようなメロディーになぞらえ、心に訴えかけてくるような演奏が盛り立てます。そしてついに、「春よ、こい」のサビに合わせて、二人が結ばれます。感動的な、ホール中に広がるアンサンブル。二人の周囲を、桜を持った舞い手が舞い、着物のたもとの扱い、美しい足袋の足さばきにまでこだわりが感じられます。花柳琴臣さんの指導の賜物なのでしょうね。

 

 

続いては、合唱「世界に一つだけの花」です。合唱は得てして、音がぼやけがちになるものですが、音にこだわる高山西はさすが、一音一音がくっきりとしています。メロ部分は歌詞を歌うほか、ハーモニーを伸ばして歌うパートがあり、ゆったりと心が解きほぐされるよう。そしてサビに入ると全員が心を込めて、ひたむきに想いを音に紡ぐ様に、圧倒され、心を打たれます。

 

 

 

第2部の最後は「エル・クンバンチェロ」です。拍手を誘う部員に会場中も拍手でこたえます。ドラムソロでは主役にスポットライトが当たり、存分に叩きっぷりを魅せてくれます。「ワン、ツー、スリー、フォー!」と全員が叫び、全員での演奏が再び始まります。そのときそのときのメインパートを目立たせる、二年生が考えたというノリノリの演出。最後には部員が客席にまで飛び出して、会場中を巻き込んでのフィナーレです!

 

第3部

Q.第3部の見どころは?

 

部員「第3部では、作曲家の江原大介さんが作曲してくださり、飛騨にゆかりのある「めでた」や「高山祭」をモチーフとして作ってくださった曲なので、皆さんも一度は耳にしたことのあるフレーズがたくさん出てくると思うので、ぜひ聞いてください。そして、私達の代名詞でもある「エルザの大聖堂への行列」では、一番最初のフルートのソロはとっても格好いいので、ぜひ皆さん、ご覧ください。それでは、どうぞ!」

 

 

チューブラーベルの入りが特徴的な「狂詩曲~飛騨の祝い唄「めでた」による幻想~」が、荒々しく始まります。音の一粒一粒が押し寄せてくるかのようです。一転、厳かな空気。この空気感を出せるのが、高山西の技術力の高さなのでしょう。鈴の音がしめやかに響き、フルートやサックスが、哀愁を感じさせる演奏を聴かせます。ピッコロはまるで「ひちりき」のよう、クラリネットは束になり「しょう」のような音を奏で、地元への愛を感じさせてくれます。

 

 

 

ラストを飾るのは、高山西の定演では定番となった「エルザの大聖堂への行列」です。部員のお勧めのフルートはもちろん、クラリネットなど、徐々に増えていく楽器の入りが繊細で、切り替わりを感じさせず、音が一体となった「アンサンブル=調和」を感じさせてくれます。そして最後の大盛り上がり。全員がひとつになったハーモニーに、パーカッションはシンバル3人に銅鑼という、割れんばかりの音が身体も心も震えさせ、感動に包まれて演奏が締めくくられます。

 

会場中の拍手。そして拍手に押され、カーテンコール「スタンドアローン」の演奏が始まります。反中洋介さんのテノールを、田尻明菜さんのピアノと高山西の演奏が活かし、支える、組み合わせによって生まれた美しさ、そして力強さが印象的です。

 

 

カーテンコール二曲目は「ハンズ・アクロス・ザ・シー(アメリカン・ドリームス)」。冒頭のファンファーレは本当に、音そのものの美しさに圧倒されます。その後に続くマーチは、響きが豊かでありながら、キレがよく軽さを感じさせ、思わず体を揺らしてしまいます。続くそれぞれの楽器のソロは、飾りを盛り込んだ情感に溢れた演奏。再びの全員の演奏は軽快にして、力強く曲を締めくくります。

カーテンコール三曲目は「第一組曲より「ギャロップ」」。カーテンコールにふさわしい、サーカスを思わせる華やかな楽曲です。長く演奏を続けて疲れているでしょうに、ギャロップの速さでも乱れない音遣いはさすが、基礎練習を重視している高山西です。そして最後の音の前の溜めが長い!指揮者が全員に起立を指示します。待ちに待ったラストのハーモニーの伸ばし!のフェルマータがまた長い!!全てを出し切ったウインドアンサンブル部を、会場からの大きな拍手が包みました。

 

 

「第32回、定期演奏会。せーの!」
「「花のように舞い奏でる!!イエーーーーイ!!」

 

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